Japan
「INPUT(世界公共放送番組会議)」は世界各国の公共放送の制作者が集まり、お互いの国の番組を見ながら制作手法を学びあう国際番組会議です。多メディア多チャンネル時代、公共放送はどのようなコンテンツを放送していくべきかを公共放送局の制作者どうしで議論する場として、1977年に第1回が開かれました。毎年5月に世界各国の公共放送局が持ち回りでホストを務め、約60カ国から500人程度の参加者が集まります。
【2011年の開催】
2011年5月9日~12日 韓国・ソウル
ホスト局は韓国の公共放送KBSとMBCの共同開催。
【上映番組と会議フォーマット】
会期中は3つの部屋に分かれて、合計19のセッションが開かれ、世界中からエントリーされる300本近い番組の中から選ばれたおよそ80本が上映されます。
それぞれのセッションでは、あらかじめ設定されたテーマに沿って3~4本の番組が上映され、続いてその番組の制作者と参加者が議論を深めます。
番組の選考基準は
・ 手法、映像表現、取材対象及び視聴者へのアクセスの方法、または権力に立ち向かっていく志が革新的かどうか
・ 公共放送としてチャレンジしているか
・ 公共放送制作者にとって、いいディベートの題材になるか
選んでいるのは、「ショップスチュワード」と呼ばれる選考委員(12カ国から14人)です。
ショップスチュワードの司会進行でテーマに沿って議論が進められ、参加者は、それぞれ好きなセッションに出席することができます。
【テーマと上映例】
・ 2007年「戦争の新たな描き方」・・・Woman See A Lot of Things(フランスARTE)インタビューを中心としたドキュメンタリーだが、残虐な戦争シーンはアニメやイメージ映像でArtisiticに見せる。
・ 2007年「問題提起のための虚偽ニュースは許されるか」・・・Bye Bye Belgium(ベルギーRTBF)ベルギーからフランダース地方が独立したかのようにニュース番組をフィクション化した生番組。世界各国のニュースでも取り上げられた問題作。
・ 2008年「芸術番組の新しい見せ方」・・・The Magic Flute(スイスSF)一チャンネルでオペラ生中継、隣のチャンネルでそのオペラの舞台裏を生中継(両方を同時に流すことによって、オペラにより親しみを感じてもらう工夫。
・ 2009年「フィクションとドキュメタリーの境界線?」・・・The Tale of Nicolai & the Law of Return(イスラエル)ルーマニアからイスラエルに移住する一家の話だが、被取材者&家族、友人総出演で実話に基づいて再現して描く。
*2009年、2010年の主なテーマ例は、別途掲載。
【最近の日本から参加番組】
・ 「大科学実験」(2010年、「テレビは科学をエデュテイメントに変えられるか」)
・ 「天才テレビくんビットワールド」(2010年、「Creativity vs Technology?」
・ 「シャキーン」(2010年、「公共放送と高視聴率番組」)
・ 広島発ドラマ「火の魚」(2010年、「アジアのコンテンツは世界に通用するか」)
・ Nスペ「ミラクルボディー~第1回 アサファ・パウエル 史上最速の男~」(2009年、「違った視点で見てみよう・・・新しい手法への模索」)
・ Nスペ「ヤクザマネー~社会を蝕む闇の資金~」(2008年、「テレビが内部告発する役割を果たすとき」)
・ 「星新一ショートショート劇場」(2008年、「文学をテレビで映像化することはできるのか」)
・ 謎のホームページ「サラリーマンNEO」(2007年、「シリアスな内容をユーモアに包む手法は効果的か」)
【今年のINPUTに参加を希望する方】
下記までご連絡ください。
日本ナショナルコーディネーター
古池 史奈
NHK編成局ソフト開発センター
Tel: 03-5455-5873
E-mail: koike.f-ge(at)nhk.or.jp
【INPUTの主なテーマ一覧(2010年、2009年)】
★公共放送と高視聴率番組 NHK「シャキーン」登場
高視聴率を取るためには何が必要だろうか?高視聴率=高品質か?多メディア時代に視聴率の持つ意味は?公共放送にとって視聴率は本当に大切か?よい番組を作っていればいいのでは?
★フィクションとノンフィクション、私と公の間
(番組ジャンルの境目が変化しつつある今日)世界の歴史、政治、社会といった公の話題をテーマとしつつ、パーソナルな話をユニークに使ったアニメ、ドラマ、ドキュメンタリーを検証する。
★eMerging Media
テレビ向けに作られた番組はそのままではインターネットで通用しない?現在盛り上がりを見せるソーシャルメディアを、テレビは取り込めるだろうか、テレビはどう変わるだろうか?インターネットを使った番組を検証する。
★人間関係、どこまでさらけ出す?
一般の人々がカメラの被写体になるとき、公共放送はどこまで見せていいのだろうか。自殺前の数ヶ月を見せる制作者、スペインの牢獄の内側などの例を見る。
★ドラマとトラウマ
実際に起こった事件、事故を扱ったドラマを取り上げる。やはり「事実は小説より奇なり」なのだろうか?事実は誰の視点に立って伝えられるのだろうか?
★Creativity vs Technology? NHK「ビットワールド」登場
新たなメディアの出現に伴い、公共放送も多彩な番組を作るようになった。しかし、こうした新たなメディアを用いて、私たちはよりよいもの、より視聴者のニーズにあったものを作れているだろうか?それは、新たなメディアを使うための番組作りになっていないだろうか?
★視聴者=予想外なファクター
番組を作っているとき、予想ターゲットが良くも悪くも外れるときがある。なぜだろうか?うまく行った例と外れた例を紹介する。
★大型イベントの編成
7時間半や24時間といった特別番組を編成するには勇気が必要。成功するための秘訣は何か?公共放送にはこうした大型イベント番組が必要だろうか?それはほんとうに視聴者のため?それとも「公共放送」のため?
★公共放送と社会問題
社会で論争となっている問題を公共放送は取り上げているか?公共放送は、ことの成り行きについて責任を負うのだろうか?取り上げることにリスクはあるのだろうか?
★取り付かれた頭の中
3つのジャンルの3つのドラマのストーリーテリングを検証。公共放送は、どこまで社会のひずみを伝える責任があるのか?また、いくらかのリスクを負わなければ、芸術は作れないのだろうか?
★私の視点(制作者の視点)
テレビでは客観性が求められるが、制作者が自分の世界にカメラを向けた3番組を検証。制作者が、当事者であるのと、観察者として存在するのとでは、最後になんらかの違いが出てくるのだろうか?
★テレビは科学をエデュテイメントに変えられるか NHK「大科学実験」登場
公共放送に科学番組はなくてはならないもの。しかし、内容が難し過ぎて、視聴者が置き去りにされることもあった。ここに来て、科学の基礎を面白く伝える試みがなされている。「教育のエンターテインメント化」は、果たしてうまくいっているのかを検証する。
★調査報道なんてどうでもいい?
「デジタル化だ」とかなんとか、最近はいろんなことを考えなければならない私たちジャーナリスト。そのせいだろうか、日常業務であるはずの調査報道は最近は忘れられがちなのでは?それとも、人々はもう調査報道なんて求めていなかったりする?
★予算削減をチャンスに変えられるか
どこも予算削減に悩んでいる。どんな工夫をしたらいいのか?それで新鮮さを保てるのか?視聴者により近づけるのか?そして、予算を削減されても番組の質は維持できるのか?
★若い視聴者獲得のために
将来、公共放送にお金を出してくれる今の若い世代に私たちは何を与えられているだろう?若い世代にどんな番組を見せ、彼らの力をどう使っているか、世界の取り組みを紹介。
★テレビの経済番組
世界的な経済危機の影響が、今も各国で尾を引いている。しかし、視聴者の多くは、経済の仕組みが分からないままなのはどうしてだろう?私たちは、きちんと伝える仕事をしていないのか?経済の難しい話でも、分かりやすく面白い番組にできる実例を紹介。
★歴史をパーソナルに
過去の出来事をどのように魅せるか。歴史的な出来事を、論争の両側から同時に伝える3番組。
★ドキュメンタリーの役割
ドキュメンタリーは、政府の不正を暴いたり、官僚を批判したりする。公共放送はこうした番組を放送するにあたって、権力にどう立ち向かうのか?
★政治家に使われるな
一般的に、政治家がテレビに出ると視聴率が取れる。ニュースや討論番組ならともかく、リアリティー番組やゲーム番組に出る場合、どっちがどっちに使われているのか?番組制作の主導権はどっちが握っているのか。
★世界のテレビの新フォーマット
新しいアイディアは常に求められている。世界でヒットしているフォーマット番組に注目。EBU Eurovisionで取り上げられた番組を紹介。
★アジアのコンテンツは世界に通用するか NHK「火の魚」登場
今、アジアのコンテンツが注目を浴びている。アジアで制作されたものは視点、スタイル、ストーリーラインが違うのか?同じなのか?西欧にも通じるのか?
★違った視点で見てみよう NHK「ミラクルボディー」登場
新しい手法への模索について
★これ事実?そもそもそれって問題?
「事実に基づいたフィクション」はドキュメンタリーと呼べるのか、ドキュメンタリーの境界線について討議する。
★映像がない?問題ない!
ストーリーを伝えるだけの映像がない、撮影の許可が下りないというとき、世界ではどんな工夫をしているか。映像が存在しないテーマをどのように表現するのか。その手法と有効性。
★ありきたりを避ける
誰もが知っている有名人、事柄を描くとき、どういう新しいアプローチがあるだろうか?通常のアーカイブ映像やその主人公と関係の深かった関係者のインタビューを取るだけではない、思い切った手法はないか。
★何が作品を導くのか?
番組の視点はどこにあるのか。作り手、テーマ、出演者、誰が番組を牽引していくのか。
★(Copy)Rights
世界中で知的財産権、著作権が議論になっている。特にデジタルメディアを使った若者向け番組においては古い著作権制度の有効性を疑問視するような番組が作られ、話題となっている。公共放送としての立ち位置はどこにおくべきか?
★TV/Internet Tomorrow, NOW
今の若者は、テレビを見ながら、プレステでゲームをして、インターネットで友達とチャットしている。多メディア化により、視聴者の情報およびエンターテインメントの消費方法が変わってきている。そして放送局側もその伝達方法を模索中。そうしたクロスメディア番組を紹介。
★オープンにしてさらけ出せ
世の中には恥ずかしいから、センシティブだから、危険を伴うからなど、オープンにできない気持ちや考え、出来事や問題がいっぱいある。そうしたことをテレビでどのように扱いその意味を考える。
★ストーリーテリングの強み
時代が変わっても、メディアが何であっても、大事なのはストーリーを語る力。
★面白ければいいじゃん?
公共放送はすぐにメッセージや社会的インパクトを番組に求めるが、純粋に視聴者が楽しめるものを提供することも公共放送の役割なのでは?

